1にしているけれど、全然本当は1ではない。2年位、ずっとやっている。
と言って、冬は雪が降って何もできないから、雪がないシーズンの、休みの日には時間を決めて庭に出るようにしている。
田舎に住む良さ、と言うのか悪さ、と言うのかはそれぞれだろう。
100坪の土地に、45坪位の家。都会からしたら大きい家だろうし、田舎にしてみれば普通の家。
土地の半分位は庭や駐車場になるのだけれど、土があれば雑草が生える。とにかく、管理に手間がかかる。地道な作業が苦手な人はまず向いていない。私は庭が好きだから趣味と割り切って楽しんでいるが、そもそも草木が好きでなければ苦行でしかない。
私は元々土いじりが好きと言う自覚はなかったが、しなければいけなくなってしているうちにはまってしまった。はまってしまうと言うと大層な熱量に思えるが、やっているのは淡々とした黙々とした、繰り返される肉体労働である。
それの何が楽しいのか。まず、その淡々とした肉体労働が嫌いじゃない。鳥の声とか聴きながら、土を触る、草を触る。なんか根付いている気がする。
そして、最大の面白さが、自分のだから好きに出来るという事である。
マインクラフトと言うゲームを知っているだろうか。何でも自由に出来るブロック世界で好きに過ごすゲームなのだが、好きにすると言っても家を買う、ドーン建った、みたいな単純なものではなく、家が欲しければまず土地を決めて、邪魔な木があれば斧で切り倒し、スコップで地面をならし、そうやって土地を切り開くところから始まり、木を切って木材にし、積み上げて柱を立て、間を石で埋め壁にして、窓ガラスは砂でガラスを作って加工してはめて、のようにすべて自分でしなければいけない。
次男は回路を作ったりと別な楽しみ方をしているが、元々私はまずスコップで整地をして、畑を作り、家を建て、牛や鶏や羊を飼うと言ったことにとにかく時間を費やすタイプなので、元々素質はあったのだろう。
やっている事は、完全に小さなスケールのマイクラである。
どんな好き勝手しているか。取り合えず、やった事をまず書こう。
前提として、最近の家は最初から庭をアスファルトにしてみたり手間がかからないようになっている事も多いけれど、そこは実家のリフォームだから、がっつり土の庭である。母が苔を生やそうとして失敗した地面もドクダミが勝ち誇っていた通路も全部草を刈りまくってならし細かい砂利を敷いた。
枕木は腐っていたので自力で取り換えたし、伸び放題だった松の上も切ってすっきりさせた。因みに父は松の上がなくなった事に気づいていない。
梅の木を発見し、実がなっていたので収穫し、梅酒と梅シロップを作った。1年かけて出来たは出来たが、元々酒をあまり飲まないので梅酒は多分もう作らない。シロップもどう使っていいか分からなかったのだが、ゼリーを作ってサイコロ状にカットし、ジャスミンティーに浸して嫁に捧げたら大いに気に入って頂けたようで、意外に消費した。因みにうちに入り浸っているトイプードルも梅ゼリーは気に入ったらしい。
山椒の木も見つけて収穫したのだが、山椒自体あまり使わない、使えない事に気が付いた。青山椒で佃煮とか作ってみたけれど、まぁ美味しいけれど慣れない味でそんなに消費しない。時期を待って収穫しなおし、乾燥させて種を一個一個とり、粉にもしてみたが鰻をそんなに食べるわけでもなし、魚の臭み取りに使う習慣もない。微妙に詳しくはなったが、これはまぁ、たまに触って香りを楽しむくらいにしておこうとなった。
柿の木は、並び立つ木蓮の木に勢力争いで負けてあまり大きくなっておらず、小さな実しかなっていなかったが、剪定してあげたらちょっと元気になって普通の大きさの実をつけるようになった。なったはいいが、そのまま食べられるようなものではなく、干し柿にしたとしても、またあまりみんな食べなそうだよなと思って放置している。
モッコウバラを植え、フラワーアーチにしてやろうとしているが、様になるにはまだ10年近く掛かるのではないだろうか。バラは他にも植えているが、統一性のなさに悩んでいる最中。
西洋ニンジンボクを玄関に植えたら、やたら元気で大きくなり過ぎて駐車場に進出してきたのでがっつり剪定したら、更に元気になってしまい、11月なのにまだ花をつけている。
バジルは鉢植えで育てるが、買ってくると高いのでこれは毎年やっている数少ない成功例。昨年は乾燥させて保存する事も出来たが、今年はジュノベーゼを作ったらすぐなくなってしまった。来年はもう地植えで数を増やして植えようと思っている。
紫蘇も見つけたのだが、紫蘇ってこんな風に大きくなるんだと驚いた。来年は増やして収穫しよう。
ミントは増えすぎるらしいのでちょっと残して刈り取っている。料理に使う事もめったにないので、山椒と同じくたまに触って匂いを楽しんでいる位。
紫陽花が5~6株散乱していたので苦労して掘り返してまとめたのだが、あいつら意外に強くてどんどん大きくなる。また移動しようと思っている。
ツツジは木なので掘り返すのがとにかく大変なので移動できない。いくつかあるが全部もう花が咲かないのでとりあえず強剪定した。それでも咲かないならどうしようかと思う。丸く剪定できれば面白いけれど、まだそんな腕はない。
サルスベリと沙羅の木が並んでいて喧嘩をしていたので、思い切って管理の面倒な沙羅を切り倒して薪にした。
道路わきに並んでいた目隠しのヒバは、目隠しし過ぎて駐車場から出る時に通行人や車が見えない。邪魔だったので全部切り倒して、薪にした。
ここまで書くと、さぞ大きな庭を思い浮かべるだろう。しかし、書いたようにそこまで大きな庭ではない。何もしない父が父の実家から松を引き取ったり、亡き母が、手当たり次第に植えたりと、ひしめき合っているだけだ。
そのくせ母も大して手入れしていなかったものだから荒れ放題だったのを、孤軍奮闘している、という状況だ。まぁ一部自分で植えたのもあるが。
庭師を入れようかとも思って電話をかけたのだが、庭師業者も高齢化が進んで人手が足りないらしく、連絡すると言ったきりうんともすんとも反応がないので、全部自分ですることにした。
で、ひと段落着いた、と言うか一旦飽きたので、もっと遊べるところを探していたところ、家の脇を流れる水路の両脇が森化してうちへ侵入を試みていたので思い立って分け入って、伐採しまくって整地をし、土地が出来たので桜一本、枝垂れ桜一本、ブラックベリー、ラズベリーを植えたところである。
秋にはもらって乾燥させていた木材をチェンソーで薪にするという仕事もあり、なかなかおっさん、休日忙しいのである。
薪ストーブは冬の趣味なので、また今度書こう。
ただ一つ、これも料理と同じ。とにかく時間が掛かるのである。1m幅を2m位、雑草を刈って土を掘り返し、石を分け、平らにするのに余った土をうちの庭に移動するだけで2時間くらいは掛かる。とにかく進まない。最初はホームセンターで買った熊手一つを友としてで飛び掛かっていたのだが、最近倉庫で見つけた鍬を担いで挑んでいる。
でも水路脇、何十年も放置されていたので整えていると土の中から訳の分からないものが出て来る。太さ15㎝位、長さ1m位の土管? が10個以上埋まっていたり、いつのだか分からないデザインの缶コーヒーの缶とか出てきたり(当然懐かしのプルトップ)。
捨てたのか放置して忘れたのか、その上に草が茂り枯れ時間と共に土になって埋もれて行ったのだろう。せいぜい50年位じゃないかと思うのだが、今では考えられないざっくりとした時代を感じる。
とにかく、私はリアルマイクラを楽しんでいる。
夕飯の時に、庭園にするのだ、と思いを語ったところ、ずーっとテレビを見ているだけで何一つ手伝わない父が、ふん、と鼻で笑った。
この野郎…桜が育ってお前の部屋から見ることが出来るようになったら、この価値を思い知るがいい。と思っている。
私にとって父と犬は、面倒だが、とにかく面倒だが、とりあえず元気に長生きして欲しいしか願う事のない存在だ。
↑勝手に整地をしている水路脇。
↑整地という名の発掘作業。
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