22時。ホテルのテレビでYouTubeが映ると知って、最初焚き火映像を付けてみる。
意外に大きいテレビなので、やたら大きい美しい焚き火がパチパチしばらく鳴っていた。これは何か工夫ができそうだと、部屋の電気を消して見る。雰囲気が出る、が、やはりなんとなく違う。年の三分の一は家で薪ストーブを使っている自分としては、熱も匂いもない火は、違和感が強い。睡眠用とあるが、キャンプをしていたとしても火をそのままにして寝ないよね。火の用心、マッチ一本でも火事の元なのに、こんなどでかい焚き火を放っておちおち眠れない。ソワソワする。誰かちょっと見といてくれないかな、と周りを探すが、誰もいる訳はない。
諦める。諦めて、雨の音を探す。雨は放っておいても多少の降りなら不安にならない。
私は、虫が嫌いだが、虫の声は好きだ。特に日暮の声。他にも今探しているように雨の音とか、木々風に揺れる音とか、自然の音が好きだ。
そう、雨の音。雨の音も色々ある。YouTubeでは意外に土砂降りの雨音が多い。
寝るにはやっぱり不向きと思うが、そんな音も好き。トタン屋根に落ちる音も好き。紅葉樹の近くにいると、雨粒に気づく少し前に、葉っぱに雨粒が落ちる音で雨だと気づく。あれも好き。土に落ち始めた時に、土埃が少しだけ舞う。土の匂いがする。それも好き。濡れたシャツとか放射熱でやたら寒くなるのとか、靴に水が入るのとか、それは嫌い。しばらく前、妻と東京のCHANEL展に行った時に結構な雨で、その時には濡れるのも楽しかったけれど、あれはまぁ特別な事。
いいのを見つける。10時間もあって、画面は真っ暗なので、テレビはついていないように感じる。それなりの雨音。
音量を絞って、ベット脇のライトを灯し、本を読み始める。
一気に安らぎスペースに近づく。
またひらめく。携帯でAmazon musicを開く。雨音に似合う音楽を探す。
ショパンのバラード1番…ドラマティック過ぎて本に集中できない。特に辻井さんバージョンなもんで、心がそっちに向きすぎる。フジコヘミングが弾くリストのカンパネラも好き過ぎてダメ。
バッハの無伴奏チェロ組曲にする。ピエール フルニエさんが弾いているらしい。第3番ハ長調。好きな曲だがそこまで聴き込んでいないので、弾いている人にこだわりまでは無い。どちらかと言えば昼に聴きたい曲ではあるが、そこはまぁよし。
YouTubeで室外の雨音を再現、部屋には小さくチェロのメロディー、白熱色で照らされる本。…我ながら完璧である。
完璧だったのだが、残念な事に読んでいた本がほぼ終わりかけだった為読み切ってしまい、この状況がもったいなくて書き残さねばとiPadにこうやってメモしている。興が乗って長々書いている。
コーヒー、淹れちゃう? ホテルの部屋にあったインスタントだけれど、それはそれでありじゃない?
なんかまたウキウキしてきた。 では
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